野球肘や野球肩は無理に使い続けることが原因で悪化し、最悪の場合手術が必要になる可能性があります。
対策として、ウォーミングアップをしっかりと行い、正しいフォームを身につけたり、筋力トレーニングやストレッチで筋力や柔軟性を上げるのも重要になってきます。
また、投球時に肩甲骨からの動き始めを意識したり、球数制限を設け登板間隔をあけるのも効果が期待できます。
鍛えるのに重要なのは、上腕二頭筋のような大きな筋肉ではなく、回旋筋腱板（棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋）という肩のインナーマッスルを重点的に強化することが望ましいです。

投球動作が原因で肩が痛くなることを「野球肩」、投球動作が原因で肘が痛くなることを「野球肘」といいます。
野球肘は肘の内側の靭帯に炎症が起きたり、投球時に肘の内側が引き伸ばされる力が働いて発症します。
他にも肘の内側の腫れや圧痛、投球時や投球後の痛み、肘の可動域制限が現れたりします。
野球肩は投球動作での痛み、可動域制限、力が入りにくく全力投球ができない、球速が下がり遠投で遠くにボールを投げられないなどが現れます。
他にも手の小指側のシビレや肘のぐらつき感、ある角度で動かなくなるロッキングなどの症状も現れます。
これらの症状が現れたら、整形外科への受診をおすすめします。

野球肘や野球肩の原因としましては、オーバーワーク（使いすぎ）が多く挙げられます。投球動作の繰り返しによる肩や肘の筋肉への負担の蓄積や、悪い投球フォームによる肩や肘への負担の増加、練習量や練習内容が身体の状態に合っていないことによる肩や肘の酷使、トレーニング不足による筋肉や靭帯の損傷の可能性も高くなります。過度な練習や一日の投球数が多すぎてしまうと、野球肘や野球肩になりやすく、投球動作によって肩甲骨まわりの筋肉や肩関節、肘に繰り返しの大きな負荷がかかってしまうため、投球数には注意が必要になります。

放置して進行してしまうと、「変形性肘関節症」といって、通常では中高年以降に起こる肘の軟骨がすり減って骨にも変形をきたす状態にもなりえます。
また、成人でも野球肘が生じることはあります。この場合には、軟骨そのものが障害を受けるよりも、肘関節を構成する靭帯が損傷を受けることが多くなります。
野球肘は、投球動作に関連した肘の酷使によって生じることが多いですが、野球をしている方すべてに生じるわけではありません。姿勢のバランスや投球フォームなどの原因からなりうることが多く、大人になっても生じるひとつの障害ともいえます。

程度が軽い初期段階であれば、投球動作を一時的に控えて肘を休ませることで軽減することも期待できます。ただし、数か月以上に渡って投球動作を控えることが求められる場合もあります。
野球肘では症状や予測される休息期間、病状の進行状態などによっては、手術が勧められることもあります。その中でも当院としての施術では鍼施術が効果的であるとされています。鍼施術を行うことにより、炎症が起きている肘や肩の痛みが緩和されることが期待できます。炎症している筋肉にはもちろんですが、ツボとして捉える施術も行えるため、血行促進や自然軽減力向上にもつながることが期待できます。

野球肩、野球肘の原因のほとんどはオーバーユースによるものであり、投球動作などオーバーハンドの繰り返しにより肩関節に過剰なストレスがかかり、炎症や損傷が起きます。投球時の痛みから始まって、悪化すると日常生活で少し肩を動かすだけでも痛みが走るようになります。投球動作中に痛みが生じたら、まずは冷やすなどの応急処置を行い、「練習量や運動強度は適切か」、「正しいフォームで投球できているか」、「肩甲骨周りの柔軟性は保たれているか」、「筋力は低下していないか」をチェックすることが大事になります。肩周りや背中周りの柔軟性を向上させたり、骨格バランスの乱れを正しくしていく必要があります。また、投球などの練習量の制限やアイシングなどのセルフケアの徹底化を促す指導をすることも重要です。